広島市で6日に開かれる被爆68年の平和記念式典で松井一実市長が読み上げる平和宣言の作成に、愛媛県松前町出身の女性が関わっている。市内の小学校で臨時教員を務めながら被爆者の体験談を伝える活動を続ける大西知子さん(64)=同市東区中山西1丁目。教員経験を基に「中高生でも分かりやすい宣言であってほしい」と尽力し、広い共感を呼び掛ける。 大西さんは32歳の時に結婚で広島市に移り、1999年から広島平和記念資料館で原爆被害の実相を来館者に説明するボランティアを続けている。被爆者の手記や資料、証言の聞き取りも精力的に続け、2011年に被爆者の体験を聞き取った本を出版した。 活動が評価され、11年から市長、被爆者、資料館長らでつくる、平和宣言に盛り込む要素や被爆体験談の選定に当たる懇談会メンバーを務めている。今年は8人のうちの1人として、4月から3回の話し合いを重ねた。 今回の宣言は、公募で集まった56点の被爆体験談と懇談会出席者の聞き取り調査内容から原爆投下当日の惨禍と差別や偏見、後障害による苦しみを伝える5編を紹介。絶対悪と位置付けた核兵器の非人道性を訴え、廃絶に向けた諸外国との連携強化や責任あるエネルギー政策を政府に求める。原爆犠牲者に哀悼をささげ、平和な世界の実現を誓う。
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