愛媛県内の看護現場で「2人一組」で患者の安全・安心と職場改善を目指す新たな仕組みが広がり始めている。「過去の病棟は殺伐としていた」と看護師の一人が振り返るほどの慌ただしさ。疲弊する現場の改善や看護師の定着を進める狙いだ。 「レントゲンがありますからね」「一つずつ治療しましょう」。午前8時半、松山市春日町の県立中央病院。消化器外科を担当する病棟看護師の黒田かおりさん(33)と武智由美子さん(43)は朝の会議前、患者に声掛けして回る。2人は今日のチームだ。 原則、同じ相手と1年間の仕事の責任や成果を分担するペアでの働き方を日勤に取り入れたのは2年前。背景には、看護師1人に対して患者が10人から7人に減り手厚い体制となった一方、新人教育に時間を割いた上に、重症患者もケアした看護師が疲弊していった経緯がある。 分担して病棟を回る2人は「コミュニケーションが取りやすくなった」「患者を移乗させる際の負担が軽くなった」「帰宅する時間が予測できるようになった」といった効果を実感している。
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