二度と迷い猫にならないで―。県動物愛護センター(愛媛県松山市東川町)は8月、譲渡する猫に個体識別のためのマイクロチップの埋め込みサービスに乗り出した。センターによると、猫の収容数に対し譲渡数はごくわずかで、多数の猫を殺処分する状況が長年続いており「考えられる対策に取り組んでいかなければ、現状は変わらない」と効果を注視している。 この取り組みは、県動物愛護管理推進計画の一環。月1回の譲渡会の際、チップ埋め込みと不妊・去勢手術をし、3カ月間で30匹の譲渡を目指す。 センターでは2013年度、松山市を除く県内から集められた3千匹近い猫を殺処分。岩崎靖所長は「不幸な命を増やさないことが大切」と訴える。 電子タグを内蔵したマイクロチップは直径2ミリ、長さ10ミリ程度の円筒形で生体適合のガラス製。注射器で首の後ろに埋め込む。15桁の個体識別番号が記録されており、日本獣医師会に飼い主などの情報を登録する。 このため、迷い猫かどうかが収容時に分かり、譲渡した新たな飼い主へ返還しやすくなる仕組みだ。 9日にはモデル事業として初の譲渡会がセンターであった。 チップを埋め込み、不妊・去勢手術を済ませた猫7匹が登場。台風が接近し、あいにくの雨にもかかわらず集まった15人は気に入った猫を抱き上げ「新しい家族」を最期まで飼うと約束する書面に次々とサイン。全7匹が引き取られた。
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