春の訪れを告げる回遊魚サワラが、宇和海で近年にない大漁となっている。愛媛県八幡浜市沖新田の市営魚市場では、3月中旬から大量の水揚げが続いており、漁業者からうれしい悲鳴が上がっている。 同市場によると、4月1~23日の水揚げ量(小型のサゴシ含む)は約60トンで、過去10年間の平均と比べて4倍以上多い。3月も約2倍の約80トンに上り、宇和海で40年以上漁をする同市保内町川之石の久保義隆さん(65)は「こんなに大漁の年はこれまでにない。漁師はみんな活気づいている」と満足げだ。 水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所玉野庁舎(岡山県玉野市)によると、サワラは4~5月にかけて産卵のため外洋から豊後水道を経て瀬戸内海へ回遊する。漁獲量が多い瀬戸内海では1980年代後半から乱獲などにより激減。対策として、瀬戸内各県の漁業者が2002年から休漁期を設けるなど資源管理に取り組んでおり、担当者は「資源保護に努めた成果が出ているのではないか」と分析する。
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