東日本大震災から3年が過ぎた。東京電力福島第1原発の影響などから愛媛、香川両県に避難する9家族23人が16日、四国中央市新宮町馬立の観光施設「霧の森」に集い、移住の理由や背景、ふるさとへの複雑な思いなどを話し合い、交流を深めた。 県境を越えた交流会は2013年3月の高松市での開催以来で2回目。避難者への情報発信や相談事業などに取り組み、新しい支援策を模索し続けるNPO法人「えひめ311」が主催した。 福島県富岡町から新居浜市に夫婦で避難している無職細川義隆さん(77)は「福島に戻るのは無理」と断言。それでも愛媛がついのすみかになるかには自信がなく、他県への再移住を考える。 仕事を辞めた上で12年2月、妻子が一時避難した香川県に福島市から移住した会社員井田雅敏さん(31)は「考え方や価値観はそれぞれで行動も違うが、ほかの避難者がどんなことをしているか知っておきたい」と参加理由を話す。 交流会では「避難して、同郷の人と話せないのが一番つらい」「放射線量が高くて避難したのに、帰れるのではないかと言われる。原発事故が忘れられつつある」などと理解されにくい現状を吐露した。
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