南海トラフ巨大地震による大きな被害が懸念される愛媛県宇和島市で、「全国でも特異」(市建設課)という、川を鉄筋床板で覆って建てられた住居や商店をめぐり、防災や景観対策が課題となっている。立ち退き整備を進めたい市に対し、住民の一部からは転居先や補償を心配する声が上がっている。 問題となっているのは、市内中心部を流れる畑枝川と支流の大池川の上にある建物で、総延長は県南予地方局前―宇和島市役所間の約690メートル、被覆総面積は約6575平方メートル(約130区画)に及ぶ。一部が駅前商店街に当たる。 市建設課によると、平地が少ないため河川上を有効活用しようと、宇和島市住宅協会(現在は解散)が1956年に県の占用許可を得て河口付近の被覆工事を開始。その後、上流部でも同協会や個人が工事を進め、67年ごろにほぼ今の状態になったという。
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