顎の骨に人工歯根を埋め込み、歯を復元するインプラント治療で、リスクや失敗の可能性の説明が不十分なまま手術を受け、長期の治療を余儀なくされたなどとして、愛媛県松山市の女性が18日までに、市内の歯科医院に治療費や慰謝料など約290万円の損害賠償を求めて松山地裁に提訴した。 訴状によると、女性は2011年5月に歯の痛みで歯科医院を受診した際、3カ所のインプラントを勧められた。女性は、別の歯科医師に「上顎の骨が薄いためインプラントは困難」と言われたことや既往症などを伝えたが、「現在の技術では可能」などと説明を受け、手術を決意した。 2カ所は治療が完了したが、3カ所目は「骨が全くない」などの理由で3度中止になり、別の病院を受診すると「手術の影響や痛みなどを考えると、入れ歯で対応したい」とされた、としている。 原告側は「緊急性や必要性が乏しいインプラントは、通常の治療よりも高度な説明義務が要求される」と指摘。「医師は、骨がない影響などの説明を怠り、必ず成功するかのような印象を与えた。説明義務を果たしていれば、インプラントを望まなかった」と主張している。 被告医院は「弁護士に任せており、お話しできることはない」としている。
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