愛媛県大洲市の中華料理店を長年一人で切り盛りしてきた中田絹子さん（７１）＝同市若宮＝が、昨年店を畳み、中田千早伃（ちさよ）の名で、趣味の絵画制作に本腰を入れている。山荘画廊（同市大洲）では、５日まで個展が開かれている。 中田さんは１９７２年から元夫と「かば忠飯店」を経営。約２０年に渡ってほぼ一人で調理し、３人の娘を育てた。朝から晩まで働いたが、高校時代に美術部員だったこともあり、深夜に油絵を描くことが楽しみだった。 忙しい厨房の中でも、ふと自分を取り戻す瞬間を大切にし、中華鍋の中を見て「色がきれい。キャベツが踊って楽しそう」と受け止める感性を絵に生かしてきたという。 １５年前から国内外の展覧会に応募して入選を重ね、７０歳を超えた昨年に店を閉め絵画に専念。３月にパリで個展を開催し、６月には絵本を出版するなど、活発に活動を始めた。 山荘画廊の個展に並ぶ３９点は、亡くなった愛犬や散歩道で見つけた昆虫などがモチーフ。童話のような優しいタッチで描いている。
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