8月20日未明、広島市の住宅街を襲い、74人が犠牲になった大規模な土砂災害から1カ月が過ぎた。山間や急傾斜地の住宅が多く、1万5190カ所の土砂災害危険箇所を抱える愛媛でも防災・減災対策が喫緊の課題として浮上。全国ワースト3位という土砂災害警戒区域の指定率を引き上げるべく、県は対策を加速させ始めた。 「広島市の土砂災害で、避難行動の重要性を再認識した」 中村時広知事は5日の県庁での定例会見で「従来は砂防ダムなどハード優先だった」対策を見直し、ソフト対策に力を入れる方針を打ち出した。 県内の土砂災害危険箇所は、松前町を除く19市町に分布。警戒区域は2266カ所で、指定率は14.9%にとどまる。そのうち、被害の恐れのある住宅に対し移転を勧告したり、宅地開発が許可制となったりする特別警戒区域は2030カ所あり、指定率は13.4%だ。
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