愛媛県が新たな養殖魚種として「スマ」の完全養殖技術の開発に取り組んでいる。スマは、マグロに似た味わいが特徴で、既存の養殖施設を利用可能。国際的に漁獲規制が強化されるマグロの代替魚としての需要が見込めるとして、県水産研究センター(宇和島市)などが2016年末の出荷開始を目指して研究を進めている。 スマは日本以南の太平洋沿岸に生息する南方系の魚。マグロやカツオの仲間で、成長するとカツオと同程度の全長1メートル、体重10キロに達する。カツオ漁などで混獲されることがあり、愛南町では「オボソ」とも呼ばれている。 県によると、現在は流通量が少ないため価格は安定していないが、2キロを超える魚は1キロ1500円以上の高単価で取引される。スマ養殖はマグロのような大型施設を必要とせず、県内に多いブリやタイなどの養殖施設を活用できるため県内業者にとって参入しやすいとみて昨年10月から研究を始めた。 研究は県水研センターと愛媛大南予水産研究センター(愛南町)が分担。愛媛大が親魚育成と早期採卵技術の開発を担い、県が飼育試験を実施する。
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