旧日本軍の秘密兵器「風船爆弾」製造に携わった愛媛県四国中央市川之江町の医師伊藤澪子さん(85)が19日、松山市文京町の愛媛大で講演し、戦争に駆り出された青春時代や平和への思いを語った。 愛媛大の講義「平和学」(和田寿博教授)の一環。風船爆弾運用開始から70年の今年、伊藤さんをはじめ四国中央市の住民らが立ち上げた体験を語り継ぐ会の活動も兼ねる。 伊藤さんら川之江高等女学校(現川之江高校)33回生は1944~45年、原料となるコウゾの皮剝ぎや和紙の加工作業に従事した。 講義では、軍国主義の中で育ち兵器製造に違和感を持たなかったことや、作業時に漆にかぶれて体調を崩した同級生のことなどを振り返った。学生約140人を前に「戦争では身近な生活品が兵器として使われ、国民の一人一人が巻き込まれてしまう。若い世代に平和を守ってもらいたい」と訴えた。
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