体内に入った異物を排除する免疫機能が老化によって低下する仕組みに、2種類のタンパク質が作用していることを愛媛大大学院医学系研究科の山下政克教授(48)=免疫学=らの研究グループが発見し、2日付英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。研究が進めば、高齢者に多い関節リウマチなどの慢性炎症疾患や、肺炎など感染症の予防・治療法の確立につながる可能性があるとしている。 山下教授によると、老化は免疫機能を低下させると同時に、過剰な炎症反応を引き起こし、関節リウマチなどの発症につながる。「免疫反応の司令塔」とされる特定の細胞の劣化が一因とされてきたが、詳しい仕組みは不明だった。 研究グループはこの細胞に着目。マウスを使った実験などによると、老化した細胞内では、通常よりもタンパク質の一種「メニン」の働きが弱まり、別のタンパク質「Bach2」の量が減るのを発見。Bach2は炎症反応を抑える役割があり、メニンの機能低下が炎症疾患の増加を引き起こす可能性があると突き止めた。
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