災害時の円滑な避難誘導や安否確認のため、愛媛県松山市が障害者や独居高齢者ら要援護者の個人情報を本人同意なしに石井地区に事前提供するモデル事業で、地元住民の研修会が16日夜、同市居相1丁目の石井公民館であった。松山大法学部の妹尾克敏教授が講演で「全国的にも注目が集まる取り組み」とし、情報の適正利用で命を守るよう呼び掛けた。 市は2013年10月、事前提供に同意していない約430人の氏名、住所、性別、年齢と、同意した要援護者約360人のより詳細な個人情報を同地区の23町内会に提供。研修会は市と協議会が共催し、名簿管理責任者の町内会長や名簿閲覧権限がある住民ら計約140人が受講した。 11年度に市個人情報保護審議会長を務め、事前提供を認める答申をした妹尾教授は「命のためなら財産を捨て、多少の自由を犠牲にするなど優先順位を付けられる」と述べ、命を守る仕組みづくりを市民が自ら考えるべきだと指摘。事前提供の在り方について住民から要望があれば、審議会が見直しを議論することもあるとし、使いにくさを感じれば指摘するよう求めた。
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