寒さが厳しさを増す時期に合わせ、和紙製造の「寒すき」が愛媛県四国中央市で最盛期を迎えている。気温が下がり、トロロアオイの根を搾って作ったのりの効きが良くなり均一に仕上がるという。作業は2月末ごろまで続く。 明治時代創業の藤原製紙所(金生町下分)では14日、4代目の藤原俊二さん(64)が木材パルプやマニラ麻などを混ぜた冷水にすき桁を浸し、この道40年で培った匠(たくみ)の技で一枚一枚丁寧にすいていた。注文に合わせて厚さや色のにじみ具合などを変え、1日で縦約50センチ、横150センチの書道用紙を400枚ほど作る。 市や伊予手漉和紙振興会(同市)によると、手すき和紙は市内の山間部で農家の副業として始まり、明治末―大正初期に700軒以上あった。現在は後継者不足や安価な輸入紙の影響などを受け数軒に減少している。
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