2011年12月~12年2月、愛媛県八幡浜市の20代の農業の女性から金融機関などのローンカード5枚や現金計約393万円を脅し取るなどしたとして、恐喝と窃盗の罪に問われた同市の20代の男性被告の判決公判が18日、松山地裁大洲支部であった。鈴木基之裁判官は「検察官の立証の根幹をなす被害者らの証言は信用性を欠く。脅迫に合理的な疑いを差し挟む余地がないほどは立証されていない。脅迫がないので、カードによる現金引き出しは窃盗ではない」などとして、無罪(求刑懲役4年)を言い渡した。 男性は暴力団組員の男(有罪判決)や親族の女性(不起訴)と共謀し、現金を脅し取ったなどとして、6件の恐喝罪などで松山地検に起訴された。公判で男性は、現金受け取りや現金引き出しは認めたが「債務は自分が弁済し、ローン契約した謝礼を(農業の)女性に渡す約束だった」として一貫して無罪を主張していた。 鈴木裁判官は、被害者と男性との携帯電話のメールのやりとりなどに脅迫的な文言がなく、親族の女性とのメールに笑顔などの絵文字を使用している点などを「脅迫を受けて畏怖していた被害者の供述とは合わない」と指摘。被害者の供述が事実と合わず、核心で重要な部分の被害者の証言が特別な理由がないのに変遷しており「基本的信用性を欠く」と判断。
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