四国電力伊方原発の放射能漏えい事故時に甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤の事前配布が28日、愛媛県伊方町の原発半径5キロ圏内で始まった。3歳以上の5494人(2015年4月1日時点)が対象で、34・2%の1881人が安定ヨウ素剤を受け取った。事前配布は九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市に続き全国2番目。 配布場所になった町民会館(湊浦)と町見体育館(九町)には朝から住民が訪れ、保健師や薬剤師から「取扱注意」と書かれた袋に入ったヨウ素剤を受け取っていた。受け取りには8月25日から開催した説明会に各世帯1人以上が出席して問診票を提出する必要があり、説明会を欠席したため受け取れない住民もいた。 町民会館でヨウ素剤を受け取った豊之浦の無職山嵜松雄さん(67)は「いつでも取り出せるよう家の壁に貼っておく」と話す一方、「ヨウ素剤を飲む事態になればあきらめなければいけないだろう。原発建設時から事故は起こらないと言っていたのに、事故に備えて配るのはいかがなものか」と懸念した。
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