時計は1988年に造られた。三橋英二園長が就任した2006年には既に調子が悪く、職員が調整しながら動かしていたが、11年春、完全に故障した。修理にいくらかかるか分からず、国の事業仕分けで頼みの助成金は廃止。獣舎の整備を優先する必要があり、時計は放置された。 「動いてなかったよ」。計装・自動制御設備会社を営む玉田明男さん(61)=松山市古川西3丁目=は昨年、遠足で園を訪れた孫の戸田尚斗ちゃん(5)から時計の故障を聞いた。実は13年前、時計の音源ソフトが壊れた際、製作会社の依頼で修理した経験があった。 仕事で園を訪れると、職員からも同じ話を聞かされた。肩を落とす姿を見かねて「(部品の)コンピューターさえあれば直しますよ」。同席していた別の会社の社員が快く提供に応じ、4月初旬、ゴールデンウイークをにらみ修理に着手した。 コンピューターを交換すれば何とかなるかと時計内部に入ると、雨漏りで人形を動かすモーターなど機械類がボロボロになっていた。自社の社員4人も修理を手伝い、暇を見つけては作業に没頭。多くの部品はスクラップ業者から譲り受けた。1カ月弱で新たな命を吹き込んだ。
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