江戸時代末期から愛媛県新居浜市多喜浜地区の塩田地主として栄えた藤田家から土地と建物を寄贈され、市が整備していた「岡城館(こうじょうかん)歴史公園」が完成し26日、同市楠崎1丁目の同所で記念式典があった。「浜旦那」と呼ばれた塩田経営の暮らしぶりをしのび、市民が憩う場に生まれ変わった。 江戸末期、西条藩の塩田惣肝煎役となった藤田本家は、明治初期に藩塩役所の払い下げを受け、現在の場所に居を構えた。14代当主が藩の剣道指南役を務めた歴史もあり、現在も敷地内の剣道場「岡城館」で門下生を受け入れている。 建物は2004年の台風で甚大な被害を受けた。岡城館は市民らの支援で復旧したが、住居は個人修復が難しいとして10年に所有者で17代当主の藤田吾郎さん(78)=西条市、弟の昭さん(72)=高松市=が土地と建物を新居浜市へ寄贈。正門や一部の建物を修復し、公園として活用するとの覚書などに基づき、12年度から整備を進めていた。 公園整備面積は3850平方メートル。邸宅の母屋や離れの基礎部分を残し、一角には藤田家と塩田の関わりや歴代当主の功績を紹介するパネルを設置した。整備費は約6900万円。
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