愛媛県今治市宮窪町沖の能島を本拠地とした能島村上水軍を題材にした和田竜さんの小説「村上海賊の娘」が本屋大賞に決まったことを受け、地元宮窪町など県内では9日、大きな反響が巻き起こった。 宮窪町宮窪の村上水軍博物館は、出版された2013年10月以降、「主人公の『景(きょう)』は実在するのか」といった問い合わせが急増、来館者数も1割ほど伸びた。9日は朝から電話が鳴り続け、田中謙学芸員は「お祝いの電話をくれる地元住民や関係者も多い。反響がすごい」と話す。 和田さんは執筆中に2度来館。船で能島周辺の潮流も確かめ、「史料に基づいて執筆しており、能島の描写もリアル」という。「景」は実在しないが、村上武吉に「女(むすめ)」がいたと記されている史料がある。 矢野均館長は「地元には小説に登場する海賊の子孫が多い。島外からの来館者増加に加え、村上水軍や国史跡の能島に対する住民の関心が高まるきっかけになれば」と期待する。同町宮窪の主婦神野ともみさん(36)は「地元の歴史を題材にした小説が受賞してうれしい。観光客が増えれば」と喜んだ。 今治市の中心商店街にあるマスヤ書店は、特設コーナーを設置。開店と同時に客が次々と訪れ、買い求めた。店員は「発売当初から売れていたが、受賞でさらに人気が出ると思う」と話した。 松山市内でも関心が高まっている。明屋書店MEGA平田店では「大賞をきっかけに若い人にも読んでもらいたい。地元の書店として盛り上げたい」と特設台でアピール。
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