アカテガニが一斉に山から下りて波打ち際で産卵する行動が21日夜、愛媛県松山市沖の忽那諸島で繰り広げられ、住民らが満月の下で神秘的な光景を見守った。 産卵を観察して20年以上という大浦老人クラブの古野輝雄会長(70)=同市大浦=によると、忽那諸島のアカテガニは8月の満月の満潮時刻ごろ山から海岸へ向かい、約4万個の卵を放つ。海で育った幼生のうち生き残って上陸できるのは1~2匹という。 野忽那島の額場(ぬかば)浜海水浴場では21日午後8時ごろから卵を抱えた雌のカニが次々に出現。満潮の同9時半ごろには、見守った約30人が足の踏み場に困るほどになった。カニたちは波が打ち寄せるタイミングに合わせ、体をぶるぶる震わせて放卵。産卵後は待ち構えた雄のハサミで抱きかかえられるように山奥へ戻った。
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