原爆被害の悲惨さを風化させずに語り継ぐ朗読会「ヒロシマ―原爆詩集」が5日、愛媛県松山市緑町1丁目のシアターねこで開かれた。市民ら約60人が、広島や長崎を描いた原爆詩に聞き入り、68年前に思いをはせた。 同市の演劇企画集団「く☆す」の主催で、広島県出身の片倉艮(ごん)さん(81)と鈴木みえこさん(65)らが登壇。峠三吉の「仮包帯所にて」や原民喜の「原爆小景」など13編を選び、人々の痛みや怒りを広島弁を交え読み上げた。 「ああ/お母ちゃんの骨だ/ああぎゅっとにぎりしめると/白い粉が風に舞う/お母ちゃんの骨は口に入れると/さみしい味がする」。原爆投下の翌日、家の跡で母と弟の亡きがらに向き合った少女が書いた「ヒロシマの空」(林幸子作)など、当時の生々しい情景に聴衆からはすすり泣く声が漏れた。
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