人口130人余りの愛媛県四国中央市の山間部・富郷地区の住民有志が地区の歴史や風土、風習を写真でまとめた冊子「ふるさと富郷」(A4判、212ページ)をこのほど完成させた。「昔のことを残したい」との一念で仕上げた一冊には100人以上の住民が自然体で登場し、地区への思いを語っている。 冊子は2001年に富郷地区協議会が発行した郷土書「ふるさと富郷村」(A5判、174ページ)の続編。約10年かけて作った今回は、住民から寄せられた白黒写真やプロが撮った富郷の今の写真が並び、農作業着で屈託ない笑みを浮かべる人の姿や、サクラや紅葉といった四季の移ろいを見て取れる。 中には大正時代の写真も。金比羅参りの旅人らの移動手段だった猿田川の渡し船の1枚を提供し、幼少時の思い出をつづった近藤常房さん(82)=富郷町寒川山=は「若者が巣立ち、伝えられるべき昔のことが忘れ去られつつある。冊子への住民の期待は大きかった」と話す。 ふるさと富郷は市内各図書館で閲覧可能。
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