旧北宇和郡の行商人が明治中期、高知県大月町の竜ケ迫(たつがさこ)地区に伝えたとされる「竜ケ迫獅子舞」がこのほど、約120年ぶりに「里帰り」。獅子と太鼓打ちの絶妙な掛け合いが、愛媛県宇和島市津島町岩松の「寿町納涼祭」で披露された。 獅子舞は92(明治25)年、地区の青年たちに伝えられ、1969年に高知県無形文化財になった。一時途絶えたが、92年に発足した大月町郷土芸能伝承保存会に受け継がれ、竜ケ迫の秋祭りや敬老会などで上演している。伝承元の旧北宇和郡には残っていない。 「里帰り」は納涼祭を主催する同市津島町岩松の会社役員泉定男さん(67)が図書館で見つけた「竜ケ迫百年のあゆみ」で存在を知り、保存会に依頼して実現した。 納涼祭には地元発祥の演舞が見られるとあって住民ら約300人が集まり、荒々しさと穏やかさを併せ持つ舞を堪能した。
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