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俳人漱石の未発表句 松山中同僚の短歌へ返礼

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 日本近代小説の大家・夏目漱石(1867~1916年)の未発表の俳句が和歌山市内で見つかったことが10日、分かった。1896年、小説「坊っちゃん」の舞台となった愛媛県尋常中学(松山中学、現松山東高校)の同僚教師に宛てた手紙に同封されていた。今年5月、教師のひ孫に当たる遺族の女性(55)が実家で発見し、国文学研究資料館(東京)の野網摩利子助教が筆跡などから漱石のものと確認した。 未発表の俳句は「花の朝 歌よむ人の 便り哉」「死にもせで 西へ行くなり 花曇」の2句で、野網助教は漱石が愛媛時代には俳句に熱心に取り組んでおり「漱石の丁寧な人柄や、人間関係が分かる貴重な資料だ」としている。 手紙は96年4月8日付で、熊本県の第五高等学校へ赴任が決まった漱石が、同僚教師の故猪飼健彦さんに宛てた。別れのあいさつに訪れたものの会えなかった猪飼さんが手紙を送り、漱石がそれに返答する内容。漱石は会えなかったことをわび、猪飼さんが手紙に添えた短歌を「永く筐底に蔵して君の記念と可致候」と書いている。俳句は漱石が短歌への返礼として手紙に添えた。 松山東高校創立80周年記念誌によると、96年の愛媛県尋常中学の集合写真には、漱石と猪飼さんが隣り合って納まっている。 漱石の自筆稿に詳しい愛媛大教育学部の佐藤栄作教授は「よい資料が出てきたと思う。短歌をもらった相手に俳句で返している。自分は俳人であるという漱石の意識を感じる」と話した。

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