昨秋、米財団の「危機遺産」に選定された愛媛県大洲市菅田町大竹の少彦名(すくなひこな)神社参籠殿(さんろうでん)の修復が、約1000万円の資金不足で難局に直面している。寄付で工費をまかなう計画だが、工事を遅らせると傷みが進行して費用が膨らむ恐れがあるため、修復実行委員会は6月初めにも工事を開始する方針で、懸命に協力を呼び掛けている。 参籠殿は、長さ10メートルを超す柱を組み、山の斜面に浮くように見せた懸け造り建築で、1934年に完成した。修復は、腐食した外周部の柱のほか、穴が開いた屋根や床、ゆがんだ壁を新しくする計画。 2012年に市民らでつくる実行委が発足したが、資金難で本格工事に踏み切れず、現在は屋根瓦を外し新しい柱を搬入し終わった段階。実行委の試算では工費は約2200万円に上り、傷みが激しく補強が必要な場所が新たに見つかるなど想定外の事態が多く、費用がかさんだ。
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