200年以上の歴史があるとされる愛媛県今治市大三島町宗方の伝馬船競漕「櫂(かい)伝馬」が1日、15年ぶりに復活した。地区が三つに分かれ、スピードや勇壮さを競い合う。船上の男性は汗にまみれて櫓(ろ)をこぎ、浜からは大歓声が上がる。宗方の誰もが熱くなる日が戻ってきた。 櫂伝馬は旧暦6月17日に開かれる宗方八幡神社の十七夜祭(管弦祭)の一つ。1814(文化11)年には行われていたとの記録がある。長さ9・5メートルの伝馬船に、こぎ手やかじを取る「主櫂(おもがい)」、太鼓打ちなど18人が乗り、海岸近くを3隻が何度も往復する。速さだけでなく、船がぶつかり合った時、いかに相手をうまくいなせるかも見せ場だ。 皆が心躍らせた櫂伝馬だが、過疎高齢化が進み1999年を最後に絶えた。宗方に11年前にIターンした林豊さん(53)=大阪府出身=が存在を知り、2013年夏、再開を呼び掛けた。住民らは「願ってもないこと」と喜び、実行委員会を設立。島を出た宗方出身者も集まり、「瀬戸内しまのわ2014」の民間企画イベントとして復活した。
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