梅干し好きが高じて、愛媛県砥部町特産「七折小梅」の生産に飛び込んだ今治市出身の渡部祐衣さん(25)が「ななおれ梅組合」の研修生2年目を迎え、自ら手を入れた梅園で初めての収穫を5月下旬に控えている。梅への愛を胸にひたむきに励む姿は、平均年齢約68歳の組合にとっても大きな力になっている。 「梅干しを作る会社に入りたい」。渡部さんは、愛媛大学法文学部3年だった2011年秋、就活を前に相談した砥部町在住の担当教授の紹介で組合の門をたたいた。毎週土日に砥部へ通い、卒業後そのまま研修生となって町内に居を構えた。 今年3月には組合から借りた梅園約25アールの管理を任された。来春の独立に向け、準備を着々と進める。 「夢は七折小梅の消費拡大です」と自慢の小梅の生産者が増えることを願う。講演のため訪れた母校では、農業に興味があるとの声も聞いた。「梅組合の人たちが私にチャンスをくれた」。後に続く人のためにも、感謝しきれない農家のためにも、自分が頑張っている姿を見せたい。収穫を待ちわびる梅の実を見つめて誓った。
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