昭和恐慌による旧石山村(現愛媛県内子町立石、南山)の財政危機を村民一丸となって乗り越えたシンボルの釣り鐘「更生の鐘」が鋳造300年を迎え、同町立石の忠光院でこのほど、記念祭が行われた。 養蚕が盛んだった石山村は1930年前後の恐慌による繭の価格暴落で財政が破綻。克服のため村を挙げての刻苦勉励と節約を申し合わせ、若者らが夜明け前に山の中腹に登って当時「愛宕山の鐘」と呼ばれていた釣り鐘を毎日打ち鳴らし、精勤を激励した。 記念祭は、地元の願成寺の三浦哲生住職と住民の計10人が地蔵尊を安置した忠光院の堂で法要を行い、三浦住職が「貧乏の底に沈んでいたが、自力更生に努めて復興を果たした。更生の鐘と呼ばれて今日に至る」と歴史を振り返った。町天然記念物の巨大な二本杉がそびえる境内の鐘楼そばに記念の石碑を設置。それぞれが鐘を突いて先人の労をねぎらった。
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