産卵のため川を下った落ちアユを炭火で焼いて干す「焼きアユ」づくりが愛媛県大洲市で最盛期を迎えている。だしに使われ、あっさりした風味とアユ独特の香りが特徴。同市や内子町では雑煮のだしに欠かせず、冬場に肱川の滋味を感じさせる食材となっている。 10代から川漁をしている同市柴の農業上満武さん(69)の作業場では12日、上満さんや漁仲間が肱川で取ったアユを竹ぐしに刺し、いろりで2~3時間遠火に当てる作業に追われた。焼き終わると、麦わらの束を筒状にした「おおぼて」にぐるり突き刺し、約1カ月乾燥させる。 作業は、乾燥具合をよくするため湿った南風が吹かなくなった10月中旬から始まり、年内いっぱい続く。上満さんは1シーズンに約1万匹を生産。今年は好天が続いたため良型のアユが多いという。
↧